宗教 - Religion

宗教

1889年に発布された大日本帝国憲法では、信仰の自由が保障されました。奇妙なことに、この項目の実現の裏には仏教界の尽力があったのです。当時の仏教界はキリスト教に強い反感を抱いていましたが、この項目を実現させ、法律を通過させました。神道が国教と定められて以来、彼らは非常に苦しい立場に立たされていたからです。 つまり、仏教界にとってはキリスト教を日本から排除するよりも、この条項を憲法に盛り込むことの方が先決だったのです。

現在の日本に神道、仏教、キリスト教を始め、多種多様な宗教が混在しているのはこのためです。三つの宗教が入り乱れている日本ですが、そのどれもが日本人の生活に非常にうまく溶け込んでいます。人々は仏教の教えに従い、祖先を敬い、自らの本分を果たそうと努力し、神道の思想にのっとって国を愛し、自然との調和を図ろうとします。また、キリスト教式の結婚式を挙げたりクリスマスを楽しみ、死んだ後は天国に行くと信じています。

多くの日本人は状況に応じて、いずれの宗教もうまく活用しています。日本人にとってこれはたいへん便利なことかもしれません。ただし、三つの宗教を信仰することはキリスト教の教えに反しています。が、キリスト教の信者は日本では少数です。日本人はこれまで、さまざまな宗教の良い部分を生活の中に取り入れてきました。特定の信仰を持たない日本人の間では、「これは日本人の頭の良さの証明だ。」という声も聞かれますが、とんでもないことです。

あくまで私見ですが、神を利用しようとすることは重大な過ちを犯すことです。神はすべてを知っており、一人ひとりの心に宿っている神に隠しだてをすることなど不可能です。私はクリスチャンではありませんが、神は私たちの内にあって私たちを見守り、助けようと、その機会を待っています。神とは愛そのものです。そして愛は常に私たちと共にあるのです。