サメ(その4) - SHARK IV

サメ(その4)

皆さんの興味を引きそうなものはないかと何冊かの本に目を通していたところ、また一つサメの話を見つけました。 昔々、一人の僧が仏様の祭壇や道具を携えて山陰地方を旅していました。ある日池の前を通りかかったとき、誤って持ち物をすべて池の中に落としてしまいました。驚きと悲しみでその場に立ち尽くしていると、大きなサメが池の中から現れ、落とした物をすべて届けてくれました。僧は驚きましたが、仏様の御加護に感謝しました。

この偉大な奇跡をたたえて、その場所にりっぱなお寺が建てられ「鰐淵寺(がくえんじ)」と名付けられました。鰐とは鮫(サメ)を意味します。平田市にある鰐淵寺は、山陰地方でも最も古く美しいお寺の一つです。ぜひ一度、訪れてみてください。秋になると、赤く染まったカエデの葉が見事です。また、境内に入ると銀杏の巨木があり、秋には葉が金色に輝きます。私のお気にいりの景色の一つです。

すばらしいお寺に見とれていないで森の中へ入っていくと、いくつかとても神秘的なものを目にすることができます。円すい形の落口の中に小さなお社があり、その頂上付近から小さな滝が流れています。この滝が、鰐淵寺の参道に沿って流れる小さな川の源です。こうした自然の喜びを間近にすると、私は、日本や出雲の国、それが私の人生に与えてくれたものに特に思いを深くします。