習慣 - Customs

習慣

日本の古い習慣や信仰はたいへんおもしろく、これらはすべて昔の人たちの生活の中にあったことが基になっているのではないかと思います。日本各地でさまざまな時期に催される「お月見」は、月は神聖なものであり、拝むに値するという考えから始まりました。月を拝んでいる人にはまだ出会ったことがありませんが、空気が乾き、冷たくなる秋に見る月はとても美しいものです。日本で最も美しい満月が見えるのは、10月10日前後といわれています。

地方によっては、一晩のうちの位置の移り変わりを見て農家の将来を占ったり、月の形の変化によってその年の運勢を占ったりするところもあります。月を眺めながら宴(うたげ)を催すのは、日本に昔からある伝統行事です。人々は月がよく見える場所に腰を下ろし、月の光に照らされながら酒を酌み交わし、空に浮かぶ月を眺めました。楽しい習慣だと思われませんか。

農家の1年は、米の収穫をもって終わりを迎えます。田舎で稲はでに掛っている稲束の光景を目にすると、また1年が過ぎ去るのを感じます。私には太陽の下で自然乾燥させた米の方が、刈り取りと脱穀を同時にする米よりずっとおいしく思えます。ときには、機械の発達がベストとは言えないこともあるのです。機械を使うときは、それが自然や私たちが口にしている食物の品質に与える影響に目を配らなくてはなりません。多くの場合、現代的な方法こそ人間に害を与えているのです。

新しい物を導入するときには、もっと注意深く、思慮深くなる必要があります。何か「すばらしい新発明」を受け入れる前に、よく考えましょう。もしかしたら、それはすばらしいとは言い難いものかもしれないのです。