天照の怒り - Amaterasu's Anger

高天原における須佐之男の狼藉に天照はたいそう腹を立て天の岩屋に閉じこもってしまいます。この世は闇に支配され混乱と恐怖が蔓延します。この世を以前のような正常な状態に戻さねばならないということで意見の一致を見たほかの神々は、天照の気を引こうと美しい鏡を作り勾玉の首飾りを天の岩屋の前に掛けました(この鏡は三種の神器の一つ目であり、次が勾玉の首飾り、最後は須佐之男がヤマタノオロチの尾から見つけた剣です[この次の物語を参照])

その後、神々は一人の腕っ節の強い神にわらの縄を手渡し、彼を天の岩屋の入り口の所に忍ばせます(このわらの縄がしめ縄になったのです。しめ縄はそこが神聖な場所であることを表す目的で用いられるもので、すべての神社で目にすることができます)神々はほかにも、毎朝太陽が昇る度に鳴く鳥のために天の岩屋の前に止まり木を設けます(言うまでもなく、この鳥はニワトリです この止まり木が後に現在われわれが神社で目にする鳥居になるのです)

次に、天宇受命(あめのうずめ)という女神が、ひっくり返した木の桶の上でみだらな踊りを繰り広げます。とてもこっけいな踊りを見たほかの神々は笑い転げます。シャーマニズムにおいては、陰部を露出することで幸運を呼ぶとされていたのです(この踊りは、シャーマニズムの一部となり、日本での踊りの起源となります)天の岩屋の中ですねていた天照は、自分は惨めな気分でいるのにほかの神々が大声で笑っているのを耳にしてたいそう驚きます。

天照は戸を開け外を見てみました。すると神々が自分に鏡を見せるではありませんか。天照はそれに向かって近づいていきました。そこへ屈強な神が天照を捕らえ天の岩屋から引っ張り出し、わらの縄で天照を後ろ手に縛ったのです。その神は天照にこの縄からのがれ再び天の岩屋に戻ることはできないことを告げます。

こうして、この世に光明が戻りすべては再び正常な状態に戻りました。須佐之を除いてですが。彼は罰として手足の爪を切られ、あごのひげも剃られてしまったのです。記述によると、さらに須佐之男は千のお膳分の食べ物も差し出しますが、高天原から追放されてしまったということです。