勇壮な鯉 - The Magnificent Carp

勇壮な鯉

皆さん、広島カープ(鯉)というプロ野球チームはご存知ですね。また、端午の節句のこいのぼりは、鯉の強さと品格の高さを表しているということもご承知でしょう。これらは男の子に望まれる資質です。お気付きのように、鯉は丈夫で長生きです。一説によると、その寿命は40年以上に及び、ほかのどの魚よりも水のない状態で長く生きるといわれています。鯉は実にたくましい魚なのです。

鯉を表す英語の「carp」には複数形がありませんが、このように複数形のない魚はごくわずかです。鯉にまつわる伝統は、もともと中国で始まったものです。中国では鯉は「魚の王様」と見なされており、ちょうど日本におけるタイのような存在です。孔子は、息子の誕生祝いに鯉を贈られたいへん喜び、息子に「鯉(「り」)」と名付けたという話です。

日本で飼われている鯉は、とても美しいものです。金色の鯉もいれば、黒、白、金色の混ざった鯉もいて、「錦鯉」と呼ばれます。 ニシキゴイは、江戸時代(1600〜1867)から観賞用として、また庭園に美しさを添えるものとして人気が高まりました。自然に住む鯉は食用になり、美しい色は適切な方法で育てないと消えてしまいます。

今から20年以上前、松江で洪水が起きた際、多くの池の水があふれて鯉が宍道湖や松江城のお堀に流れ込んでしまいました。鯉は丈夫ですので、環境が変化しても生き抜くことができましたが、自然に繁殖したため、生まれてきた鯉は元のくすんだ色になってしまいました。今でも、そうした鯉を宍道湖やお堀で目にすることができます。

これまでで、最も大きく印象に残った鯉は、塩見縄手にあるそば屋「八雲庵」で見た鯉です。私は、この店をたびたび訪れますが、行くたびに池を泳ぐ勇壮な鯉の群れを眺めます。店のご主人は、鯉に優しくえさをやり、大事な鯉が観光客によく見えるようにしてくれます。八雲庵は観光客に人気のある店です。ここの鯉は一見の価値があります。 鯉は日本文化の一部であり、外国の人々にも、鯉の美しさと、この生き物が与えてくれる安らぎと静けさは理解できるのです。