出雲と出雲大社 - Izumo and Izumo Taisha

出雲と出雲大社

日本を代表する神社といえば、伊勢神宮を思い浮かべる人が多いと思いますが、この伊勢神宮も出雲大社ほどの歴史はありません。それだけにとどまらず、島根県大社町にあるこの神社は大社造の建造物としては日本最古のもので、その歴史は実に1200年以上にも及びます。出雲大社は当初から神道の神社としてのみ機能していた訳ではなく、太古の時代には背後にそびえる山を崇拝の対象とするシャーマンの神社でもありました。その事も考慮に入れると、出雲大社の歴史は1500年以上になりますが、実際にはもっと長いと思われます。

伊勢神宮はお清めのために20年に一度立て直されますが、出雲大社は必要に応じて再建されて来ました。これまで25回立て直され、現在の建物は1744年に完成したものです。我々出雲の人間は、出雲大社を最古の大社造の建造物だと思っていますが、厳密に言うとそうではありません。実際には、出雲大社よりも古い歴史を持つ神社が三つあります。

一つは1300年以上前に建てられた熊野大社です。かつてはこの神社が出雲大社よりも名を馳せたこともありました。もう一つは同じく1300年以上の歴史を持つ八重垣神社です。ヤマタノオロチとの戦いを終えた須佐之男命は花嫁と共にここに辿り着いたと言われています。そして、3つ目が最古の女神イザナギを奉るために建立され、1600年以上もの歴史を誇る☆カモス☆神社です。これらは全て大社造です。

出雲大社には、御存知のように日本の国造りに極めて重要な役割を担ったであろう出雲の国の祖、大国主命を奉ってあります。出雲大社は、時の天皇が出雲を大和の統治下に治めること、彼に人々を支配するためのより強い力を与えることと引き換えに命に奉げられたといいます。そして、これがやがて645年の大化の改新へと続いて行くのです。

出雲大社が名高いのは、かつて日本で最も高い建物だったためです。大国主命は大和による出雲の統治の条件として、出雲大社を天の橋よりも高くするよう求めました。この結果、当初大社は高さ96メートルの巨大な建造物でした。しかし、中世には半分の46メートルとなり、現在ではわずか24メートルしかありません。しかし、それでも出雲大社は依然として威容を漂わせ、訪れる者を厳粛な気持ちにします。完成した当初の姿は想像するまでもありません。現在でも出雲大社には年間約300万人もの参拝客が訪れます。大社町のような小さな町にこれだけの人が訪れるとはにわかには信じ難い気もします。そこには人々を引き付けて止まない何かがあるに違いありません。

町の人達は敬虔な気持ちでこの場所を信仰しています。神々しい空気に包まれた出雲大社を訪れると、畏怖の念を起こさずにはいられません。出雲市は人口約8万人、島根県第二の都市です。ここには立久恵という峡谷があり、数多くの仏経画が展示されています。他にも☆出雲文化遺産博物館☆など多くの観光地があります。中でも必見は日本最大の木造建築物、出雲ドームでしょう。オープンしたばかりの出雲ドームでは様々な催し物が開かれ、地元の人達の生活に溶け込んでいます。

松江、出雲を拠点とする山陰が、日本の文化、歴史の中心地であることは最早疑う余地の無いところです。この地方に残る有名な遺跡、この上なく美しい風景、伝承を知らずして日本を語ることなど不可能です。さらに、山陰の素晴らしい人々との出会いは、この地での旅を忘れられないものにしてくれるはずです。貴方もどうかこの神々の集う国を旅して下さい。十月は日本中の神が全て出雲大社に集まるため他の地域では「神無月」と呼ばれます。どうか皆さんもいらして下さい!。