なぜ、松江に - Why Matsue

どうして私は松江で暮らすようになったのか。もう幾度となくこの質問を受けてきました。お答えするよう試みた方がよろしいかと思います。

私は、これまでインド、ビルマ、ネパール、フィリピン、韓国、アフリカ、およびアメリカの全50州など多くの国々に滞在しました。 私のふるさとは、美しいニューヨーク州にあります。今でもとてもすてきな所ですが、冬はたいへんです。それに、私は雪が嫌いなのです。

こうした国々に滞在している間も私は決して満足することなく、新天地を求めて常に移住し続けました。米空軍にいたころ、私は美保基地へ配属となりましたが、そのとき松江を訪れたことが私の人生を一変させました。ついにふるさとにたどり着いた、と感じたのです。それは運命でした。

山陰地方の美保、対馬、うに島で3年、見島と高尾山でそれぞれ1年を過ごしました。どこでもとても幸せでした。 その後米空軍から召喚され、オレゴンで落ち着かない5年間を過ごしました。私の心から山陰のことが離れることはなく、ついに空軍を退役してここへ戻ってきました。

1年ほど米子に滞在した後松江に移り、アメリカに帰ることなく16年間暮らしました。ここに来てもう約30年になります。松江にやってきてからほかのどこへも移っていません。その平穏さ、文化、すばらしい人々は、山陰を私のふるさとにしたのです。

風景は申し分ないものです。山々に囲まれ、自宅からほんの数分行けば海岸です。美しい宍道湖や中海を毎日目にすることができ、魚やしじみを捕る舟は山陰の風景に欠かせないものです。伝説、民話、芸術、手工芸に彩られた山陰地方の文化は、いつでも私を何にもまして魅了します。なんと興味深い場所に住んでいるのでしょう。

私は日増しにこの地を好きになっていきます。観光客の皆さんはいかがですか。皆さんいつまでもこの土地を忘れることはないでしょう。