世界の美術 - Art From the World

世界の美術

アメリカから日本にやってくるエルダー・ホステル・グループの皆さんの多くは、日本の美術に関する講演を聞きたがります。現代や中世の日本美術についてお話をするのはたやすいことですが、その起源となると遠い昔までさかのぼらなければなりません。通常、私は25万年前に日本列島で最初に生活し始めた人々と、彼らが信仰していたと思われる宗教について話し始めることにしています。日本でも、世界でも、芸術は、その起源からなんらかの形で宗教とかかわりを持っているというのがその理由です。

日本には、ネアンデルタール人が住み始める以前から別の人々が居住していましたが、独自の文化を持ったのはネアンデルタール人が最初でした。縄文時代後期に制作されたつぼの表面に漆で描かれた幾何学的な模様が、日本で最初の絵画とされています。それより古いものは見つかっていません。それ以前の時代の石器は、当時の日本が世界で最も進んだ石器文化を有していたことを物語っています。もう一つの重要な点は、日本には世界最古の陶器が存在したということです。これらは、いずれも考古学的発見によって証明されています。

紀元が始まって間もないころ、中国や朝鮮半島から多くの芸術が日本に渡ってきました。ここでは、その起源について考えてみようと思います。中国は、日本との交流が始まる何世紀も前から、既に強大で野心に満ちた国でした。中国人は、今のギリシャ、トルコ、イラクを始め、かつてのペルシャやメソポタミアの国々、そのほかのヨーロッパ諸国へと出かけていっては、自国の芸術の発展を手伝わせるためにこうした国々から職人や工芸家たちを連れ帰りました。

中国の絵画にギリシャやペルシャのデザインが見られるのはこのためです。 竜といえば、だれもが中国を連想し、中国で生まれたものと思っていますが、実はメソポタミアからやってきたのです。驚くべきことですが、事実です。このことからもわかるように、世界の美術は中国を起源とするのではなく、ほかの地域で生まれたのです。美術に限らず、ほかの何についても、物事の起源を知るには、素直な気持ちで臨むことが大切です。

現在の日本列島は、かつて大陸の一部だったかもしれません。最初に居住し始めた人々は、別の地域からやってきました。神話によれば、北欧から移動してきた人たちもいたと考えられます。このことについては、これからさらに調べていくつもりです。近世には、本当にすばらしい芸術家たちがいました。その中には狩野派の人々も含まれています。皆優れた芸術家で、その美術作品の多くは中国の美術の影響を受けています。このことは、日本美術の起源はその多くを外国に持っていることを示しています。