お盆 - OBON

お盆は一年を通じて日本の人々にとって最も大切な休暇期間の一つに数えられます。私が住んでいる山陰では、大抵8月13日から16日にかけてお祝いしますが、もう少し早く行う所もあります。お盆は祝祭日の中でも大変宗教色の強いものです。8月13日にはがあの世から戻ってくると言われる祖先の霊をお迎えすべく、誰もが帰省します。16日になると、人々を、と時を共に過ごした祖先を、霊魂の世界に御見送りするという務めが待っています。それは荘厳で、美しく、神聖なものです。

松江では、16日の夜に灯篭流しが執り行われます。蝋燭の灯った提灯を乗せた長さ約1フィートの無数の船が宍道湖に放たれ、帰途に着く霊の無事な旅を多くの祈祷師が祈るその光景は、大変美しく、胸に迫るものがあります。お盆を古里で過ごした人達は、再び日常に戻らなくてはなりません。交通機関は大変混雑します、どうか御気を付けて。この時期、多くの事故が発生します。

お盆と同じ位大切な祭事にお正月があります。お盆同様人々は帰省しますが、この時は都会で働いており、普段会うことが出来ず疎遠になりがちな家族との絆を結び直し、共に楽しい時間を過ごす為に帰るのです。煩わしい都会より、小さな街や小都市の方が私はずっと好きです。

お盆とお正月には明快な違いがあります。お盆は仏教の祭事であるのに対し、お正月は神道の儀式です。私は先に仏教徒は、祖先の霊を敬い、神道を信仰する人は楽しく幸せな人生を過ごすと書いた事がありますが皆さん覚えていらっしゃいますか。 数百年もの間、日本の人々はこの異なる二つの宗教の祭日を祝って来ました。双方とも、日本の人々に取り重要で、互いに補完し合っています。 そして、この大切な祭事の際、故郷に帰らないのは大変良くない事とされ、人々は出来る限り帰省するよう努めます。それに伴う面倒や費用など問題ではありません。厳しい現実です。

キリスト教は日本においてまだ歴史の浅い宗教であり、知名度も低く、信者の数も少数に留まっています。にも関わらず、教会で結婚式を挙げたり、葬儀を執り行ったりする人もいます。さらに、日本ではクリスマスは祝日とはなっていませんが、子供達はプレゼントをねだり、大人達もこの日は彼らの願いを叶えてやるためにあるのだと認識しています。得をするのはおもちゃ会社だけです。確か、こういうのを「御都合主義」と呼ぶんでした。外国の文化の中から自分達に合うものだけを取り入れ、後はきれいさっぱり捨て去るというものです。しかし、それについてとやかく言うつもりはありません。これも日本のやり方ですから・・。