松竹梅-序文 - Sho-chiku-bai - Introduction

松竹梅-序文

今日、松竹梅は着物、布団、ふろしき、財布などに描かれて、私たちの日常生活の至るところで見ることができます。松竹梅とは何で、そしてどこから来たのでしょうか。松竹梅とは、読んで字のごとく、松、竹、梅を指し、日本では縁起の良いものとされています。

松竹梅の起源は中国にありますが、元の意味は日本とは随分異なるようです。昔の中国の文人たちは、冬になると集会を開くのが常でした。その際、必ず松竹梅が描かれた絵が飾られ「歳寒三友」と呼ばれました。彼らはそれを見ながら春や夏を思い出し、冬の寒さを耐え忍んだのでしょう。中国人は、冬をより過ごしやすくするため松竹梅を活用したのです。 中国では今でも、祭りや祝い事、結婚式などでは松竹梅が登場し、また家のどこかで目にすることができます。

松竹梅の歴史をひもといてみると、まず松が幸福と繁栄を表すものとして登場しました。 次に、長生きするようにとの願いを込めて鶴と亀が加えられました。9世紀から10世紀頃にかけてのことです。 松、鶴と亀は長い間人々にとって幸福と長寿の象徴でした。室町時代になるとこれに竹が加わり、最後に梅が17世紀の後半に加わって、松竹梅と鶴亀は縁起のよいものの代表となりました。現在でもこの組み合わせを目にすることができます。

後に、この中から鶴と亀が枝分かれし、最終的に松竹梅は幸福を、鶴亀は長寿をそれぞれ象徴するようになったのです。 私は骨董品を収集するのが好きですが、骨董品から当時のようすを知ることができるのが、その理由です。人々に常に愛されてきた松竹梅には特にそのことが当てはまり、それぞれの外観から作られた時代のようすがわかります。

日本の慣習を調べていくと、文化の起源にたどり着きます。そして、茶道を始め日本の伝統的な芸術の多くに中国の影響を垣間見ることができます。このような発見、さらにその中から知識を得ることは、私にとってこの上ない喜びです。これこそ、日本および文化と慣習の起源について学ぶことのだいご味に他なりません。 自分の国の文化について、外国人に説明できることを誇らしいとは思いませんか。日本の歴史を探訪してみましょう。