偉大な食物の女神 - The Goddess of Great Food

しばらく前、天照が耳にしたという偉大な食物の女神について書きました。その女神なら弟の月読命(つきよみのみこと)の良き妻になってくれるであろうと考えた天照は、その女神に求婚させるべく月読を送り出しました。到着した月読は宴会に招かれます。

女神が平原を見渡すと、米を始めとするさまざまな穀物が女神の口から出てきました。女神が山々の方を向くと、今度は剛毛の動物や柔らかい毛の動物が口から出てきました。さらに女神が海の方角に目をやると、大きなひれの魚、小さなひれの魚が口から出てきました。こうしたものすべてが材料として料理され月読の前に置かれました。ところが、月読は口から出てきたものを食べるよう仕向けられたことにたいそう腹を立て女神の首を切り落としてしまいます。

月読が天照の所へ戻り事の一部始終を話すと、天照は激高し月読に目の前から消え失せ、2度と自分の前に現れるでないと言い渡します。神話には、このときを境にして昼と夜が分かれた、とあります。 天照は偉大な食べ物の女神を見つけるため、天宇受女(あめのうずめ)という一人の女神を遣わします。天照は以前、須佐之男に侮辱されたことがきっかけで天の岩屋に引きこもりましたが、その際ひっくり返した木の上で踊りを披露し天照を誘い出したのがこの女神でした。

天宇受女は、女神の所に行き女神が本当に死んでしまったことを知りますが、女神の体のいたる所から米を始めとする数多くの穀物や口にできる植物が生育しているのを目にします。女神の頭のてっぺんからは牛と馬が出てきました。この2種類の動物はアニミズムとしての神道の起源を物語っています。出雲市近郊の出雲大社には、牛と馬の像が立っています。

また、双方とも年齢を表すのに日本で用いられる十二支に含まれています。 すべての生命はかけがえのない存在であり大切にしなくてはなりません。おもしろ半分や己の利益のために動物や人間を殺すのはとんでもない罪悪です。生命を簡単に奪ってしまうような慈悲のない者は必ずや神の手によって裁きを受けることでしょう。