松江城 - Matsue Castle

松江城

西に日本で六番目に大きい宍道湖、東に中海を従える、山陰の日本海沿岸の松江は、城のそびえる街です。

松江城の建築様式は、通常見られるものとは異なりますが、多少修復された跡はあるものの、日本で唯一、築城以来一度も再建されることなく今にその姿を伝えるお城です。同時に、徳川時代(1600-1868)の壮麗な美術品の数々を展示する博物館でもあります。

屋根には、尾を高々と上げた二匹の魚の像が飾られています。これをイルカと思い込んでいる人もいる様ですが、もちろん違います。また、しゃちほこと呼ばれることもありますが、これも間違いです。これは「しび」と呼ばれる、体は魚で頭が龍という想像上の動物なのです。

しびは雨を降らせて家々を火災から守ると言われ、多くの民家の屋根に飾られています。 松江城のしびは日本最大のもので、城の高さは二番目を誇っています。松江城より高いのは、姫路にある白鷺(さぎ)城ですが、これは再建されたものです。しかし、その美しさに変わりはありません。

松江城では、城の建築には小さな木片が、石垣には小石が用いられました。五層六階の構造で、この考古学的特徴が、長年に渡り外国人建築家の間で関心の的となって来ました。小石を用いた建築様式は「ごぼう積み」と呼ばれ、石垣がまるで絵に描いた様に美しいのはこのためです。

松江城は前期桃山様式のお城ですが、この時代の美術は大変美しく、私はこの時代を「日本美術の黄金期」と呼んでいます。 松江城は一六〇七年から一六一一年にかけて、堀尾吉晴によって築かれました。

喜晴はその忠誠心と勇敢さから、豊臣秀吉より出雲を領地として授かりました。元来、喜晴は広瀬に居を構えていましたが、これを機に松江に城を建てることを決意しました。ロマンティックな話だと思いませんか。次回はこの続きです。