海外へ - Going abroad

1988年1月5日、私の元にすばらしい知らせが届きました。最初の教え子の一人が、このたび日立金属初のアメリカ工場の長として渡米することになったのです。彼はとても幸せそうです。私も同じ気持ちです。彼のお子さんたちはアメリカの大学へ行くことになります。彼の奥さんもまた、今回の決定に胸躍らせています。彼は定年までアメリカの日立金属に勤務し、その後の生活を温暖なアメリカ南部で過ごすつもりです。かしこいやつです。

彼は23年前、私について英語を勉強し始めました。以来私の親友の一人です。今回の出来事は、ビジネスマンや学生、国際企業で働く人々、および外国からの訪問客がある人たちにとって英語がいかに有用であるかを示す一例です。日本は狭い国土に多くの人口を抱えているため、人々は海外で働いたり生活していく必要があるのです。そうなれば子供たちも現地の学校に通わなくてはなりません。長期の滞在ともなればその国の市民権を得ることも考えられます。帰国するにしても、外国の習慣や風習が身に付いており、祖国に再び適応するのは不可能でしょう。

事実、そうした人たちにとっての祖国とは、自分が育った国を指すのだと思います。こんな風に言うと、多くの日本人の未来はたいへん暗いものであるかのように聞こえるかもしれませんが、実際はそれほど深刻ではありません。白人のまだいなかった500年前のアメリカを思い浮かべてみてください。