土用 - The doyo period

旧暦では、春・夏・秋・冬の始まりをそれぞれ立春(りっしゅん)・立夏(りっか)・立秋(りっしゅう)・立冬(りっとう)と呼んでいました。そして立春・立夏・立秋・立冬の前のそれぞれ18日間を土用と呼んでいました。ただし現在では、土用は立秋の前の18日間を指すのが普通です。立秋は秋の始まりの日で、新暦では8月8日頃に当たります。暦の上では秋が始まるわけですが、実際には夏の一番暑い時期に当たります。日本の夏は大変蒸し暑く、食欲を失い体調を崩す人が少なくありません。夏の暑さのために体が弱ることを「夏ばて」または「夏負け」と言いますが、日本ではこの「夏ばて」を防ぐために土用の丑(うし)の日にうなぎを食べる習慣があります。うなぎは栄養価が高く、昔からスタミナをつける食べ物だと考えられてきたからです。「丑の日」というのは、中国から伝えられた十二支(じゅうにし)に日付けを順に当てはめて「丑」に当たる日のことです。土用の期間には丑の日が1日か2日あります。

うなぎは細長くぬるぬるした魚で、日本料理の高級素材とされています。現在では天然のものは非常に少なく、養殖されたものがほとんどです。うなぎの下ごしらえは大変難しく、家庭で料理されることはほとんどありません。専門の料理店に行ってうなぎを食べるか、調理されたものを買ってきて家庭で食べます。うなぎに醤油(しょうゆ)と砂糖を混ぜ合わせたたれを付けて炭火で焼いたものを「かば焼き」と言います。かば焼きの風味はご飯との相性がよく、これをご飯の上にのせて食べる食べ方も好まれます。うなぎの肝は吸い物に使われます。

うなぎの細長くくねくねした姿は、色々なものにたとえられています。「うなぎの寝床」は、間口が狭く奥行きのある細長い家を表します。「うなぎ上り」は、体をくねらせて水中をまっすぐに上るうなぎの姿から生まれた表現です。物価や温度、地位などが急速に上がることを意味します。