製鉄 - Ironmaking

製鉄

鉄器時代は弥生時代に始まりましたが、本格的になるのは6世紀に入ってからですので、古墳時代(300〜710)を鉄器時代といっていいでしょう。鉄は、4〜5世紀になると特殊な用途に用いられるようになりました。それ以前は、何世紀にもわたって下層階級の人々が使う武器や道具として普通に使用されていました。しかし、鉄の文化は多様で広範囲にわたっていたため、記録として現れるのは弥生時代(紀元前300〜紀元後300)中期、およそ紀元前100年頃からです。

今でも日本の鉄は、出雲地方で大量に採取される砂鉄を原料に作られています。製鉄業は安来市の日立金属で現在も続けられ、たたら製鉄は、日本刀の制作に用いる特殊鋼(たまはがね)を作るため、島根県の横田町で続いています。鉄の初期の用途の一つに鋳物(いもの)があります。鉄を鋳造して作った鉄瓶(てつびん)は、8世紀に茶道が始まると広く使われるようになりました。ほかにも数多くの鋳物の道具が作られましたが、やはり鉄瓶が最も一般的で美しいものでした。

室町時代(1336〜1573)には、数多くのすばらしい鉄瓶が生まれました。また、安土桃山時代(1573〜1600)にも美しい鉄瓶が作られており、ここから私は、この時代を「黄金時代」と呼んでいます。鉄製の大工道具のデザインも、何世紀にもわたって建築様式や建築上の変化に歩調を合わせ発達しました。新しい建築様式にかなうよう、新しい道具が生まれたり、古い道具が改良されたりしました。日本の製鉄の歴史がこの出雲で始まったことは興味深いことであり、私たちは、このことを誇りに思わねばなりません。