版画が語る歴史 - Print Historian

版画が語る歴史

1853年のマシュー・ペリー提督率いるアメリカ艦隊の東京湾来航は、日本にさまざまな変化をもたらしました。数多くの外国の技術が取り入れられ、間もなく、明治維新(1868〜1912)によって日本は世界の大国として成長し始めます。

日本の歴史について書かれた書物は数多くありますが、ご承知のように、歴史が必ずしも真実とは限らないのです。真の歴史を知るには、美術作品に目を向けなくてはなりません。 荒々しい気風から「極東の西部」と呼ばれた横浜では、居留外国人たちは作品の題材として、たいへん興味をそそる存在でした。今も残る色付きの木版画から、芸術家たちの異人に対するわくわくするような好奇心が伝わってきます。これらの版画から、異人のイメージができあがっていきました。

版画の絵師、彫り師、刷り師、版元といった人たちは、その当時の真の歴史家と言っていいでしょう。 芸術家は、いつも、その国の真の精神を私たちに見せてくれます。私が日本を愛してやまない理由の一つは、この国が、すばらしい芸術を通してその真の姿を見せてくれる唯一の国であるからです。