書と歴史 - Writing and history

日本の書の歴史は比較的新しく、古くても5世紀頃になってから始まったとされています。古代の日本人は、実際に自分が体験したこと以外の歴史をどのようにして知ったのでしょうか。日本最古の書物「古事記」は、伝説のほかに暗誦された物語や神話を書き留めるという形で編纂されています。

奈良の歴史の長さ、または奈良が日本誕生の地であったことを裏付ける出来事、発見に関するニュースや論説などを聞くと、私はいつも、古代の日本人の生活と今の九州、およびここ出雲に存在したと思われる王国について記した『Wei Chi Chronicles』のことが頭に浮かびます。さらに、仏教が朝鮮半島から伝わったことも忘れてはなりません。記録の上では538年に伝来したことになっていますし、もう少し後になってからという説もありますが、もちろんそれよりずっと以前に渡来人によってもたらされていました。4世紀には出雲地方にも渡来人によって仏教が広まり、多くの寺院が建てられていったのかもしれません。

古代の遺跡、伝承、天地創造の神話、これらはすべて出雲と深い関わりを持っています。孫のニニギノミコトを九州に送ることで、アマテラスは初めて、自分の後継者が力を持つことを認めました。その際、権威の象徴として三種の神器を持たせました。この地方の製鉄の歴史を知るとき、三種の神器はすべて現在の松江周辺で作られたのではないかという気がしてきます。勾玉は玉造で作られ、古い鏡はこの地方を支配していた王が中国の皇帝から受け取ったものかもしれません。史実に目を移すと、出雲が日本民族の故郷であるということに思い至ります。また、邪馬台国はこの地方に存在したかもしれないのです。古事記にも日本書紀にもそのような記述はありませんが、学者たちの日々の努力によりそれが明らかになる日も近いでしょう。