献穀祭 - KENKOKUSAI and OUTING

十一月二十三日、月曜日、私は三人の親友、バージニア・キャロル教授と彼女の二人の可愛いお嬢さん、エミリーとケイトランドを、出雲大社の献穀祭へ案内しました。オハイオ州のケント大学から招聘されたキャロル教授は、現在島根大学で教鞭を執っています。お嬢さん達は子猫の様に元気です。開始時間の午後七時までの間、私達は稲佐の浜を訪れましたが、屏風岩の側で遊んでいる彼女達を見ているだけで私は疲れてしまいました。

彼女達は山陰を気に入った様子でした。とても肌寒い夕方でしたが、近年見たことのないほど美しい夕日に出会うことが出来ました。それは幻想的なもので、私達は自然の美と向かい合っている時間、寒さを忘れていました。そして、こうした自然の美こそ、出雲の国を私にとって掛け替え無い場所にしているのです。

献穀祭は、動植物がまだ十分に成長する前の時期に、大地の生み出す自然の恵みを神々に奉げる行事です。神存月に出雲大社で執り行われます。 拝殿には最初、多くの神官と何本かの小さな蝋燭が燃えている他は何も見えませんでしたが、儀式が進むに連れ、会場は荘厳な空気にを包まれて行きました。神々との対話を真摯に続ける神官達の姿、耳に響く太鼓の音、祝詞(のりと)が私の心を熱くしました。参加者達は完全な静寂を形成し、誰一人物音を立てませんでした。その静寂こそがこの神事の深遠な霊性を物語っているようでした。 キャロル一家も同様に感じていました。

彼女達は、神事は大変印象的で、今日の出来事は一生忘れることの出来ないものだと言い、それを聞いて私はとても嬉しくなりました。神事が終わり、自動販売機で熱いお茶を買って飲み、松江への帰路に着きました。皆疲れていましたが、幸福感に満ち充実した一日でした。