田植え地蔵 - The Ta Ue Jizo

偉大なお地蔵さまに関する物語は数多く存在しますが、ここにも一つあります。こうした物語のすべてから日本人の屈託のない心情と宗教や自然とのつながりを見ることができます。皆さんにもう一つお話しましょう。

その昔、人々は共に働いていましたが、税という形で労働をしていました。そして、それは任意によるものではなく義務としてなされていたのです。物語はここからです。昔々、出雲大社のそばに老夫婦が暮らしていました。二人は木のお地蔵さんを敬っていましたが、不幸なことにお婆さんが亡くなってしまいます。一人で暮らしていたお爺さんもやがて病気になってしまいました。

同じころ、村の長が村人全員に自分の田んぼに来て田植えの手伝いをするように命じました。病気で行くことができず罰を受けるのではと心配になった老人は、お地蔵さんに慈悲を求めて祈ります。田植えの日となりました。村の長は各戸の家長の名を呼んでいきます。老人の名前が呼ばれたとき、年は17になる一人の少年が前に進み出ました。

老人の代わりとして認められた少年は一生懸命働いたため、長は田植えが終わった後彼に杯を褒美として授けます。少年は杯を頭の上に乗せ家路に着きました。 次の日、村の長が少年の見事な働きぶりについて話そうと老人の家を訪れました。そのような少年のことなど知らぬ老人はたいそう驚きます。お地蔵さまにお祈りしたためにその子がやってきたのだと感じた老人は、お地蔵さんの元へお祈りに向かいました。 お地蔵さんと向かい合いお祈りを始めたとき、老人は頭の上に杯を乗せ足を泥で汚したお地蔵さまに気付き仰天します。

そして老人は、自分の小さなお地蔵さんが自ら田植えをしてくださったことを悟ったのです。田植え地蔵にまつわるお話は、日本全国に数多くあります。お話した二つの物語は私たちの出雲の国とかかわりのあるものです。皆さん興味を持っていただけたでしょうか。こうした習慣や物語ゆえ、私は伝説の出雲の国に対し関心を抱き続けているのです。