想像上の動物 - LEGENDARY ANIMALS IN STORIES

日本の昔話には、数多くの動物が登場しますが、狸もその一つです。英語には狸に相当する言葉は無く代わりにしばしばアナグマと呼ばれます。実際、狸はアナグマとアライグマを掛け合わせた動物の様です。近年、松江市内でも狸を目撃する事があります。 狸とアナグマの間には、外見だけでなく性質上大きな違いがあります。アナグマは穴掘りの名人ですが、狸は全く穴を掘りません。

アメリカには、オポッサムという、襲われると死んだ振りをする動物が生息していますが、狸も同様で、「狸寝」という、寝たふりを意味する言葉もあります。この愛らしく憎めない動物は、他の多くの動物の交配種であるかのようです。 狸が人間に化けて、悪さをするという話は数多くあります。しかし、一方で狸は貴重な動物とされ、所によっては多く飼育されています。肉で狸汁を作りますし、皮も非常に高品質で暖かいクズリの皮と同様、重宝にされます。

その昔、四国と佐渡島に多くの狸が生息しており、山陰にも多数いました。 人間から敬われる動物としては、他に狐が挙げられます。御稲荷さんと呼ばれ、日本の多くの神社で奉られ崇拝されています。“御”稲荷“さん”と敬称を2つも付けて呼ばれるのは狐だけです。 狐がこの様な存在になる発端は、ある一人の神主が見た夢にありました。その夢の中で狐は、穀物の女神と共に現れました。眠りから覚めた神主は夢で見たままの像を彫り、帰国後、その像を神社に据えました。神社の存在は瞬く間に人々の知るところとなり、これが、宗教の歴史における御稲荷さんの始まりです。そして、先に延べた通り、現在御稲荷さんは日本で最も親しまれている神様の一人です。

伝説に登場する動物といって、私が思い出すのは兎です。兎は、出雲大社に奉られている出雲の国の神、大国主命が出てくる神話、因幡の白兎で知られています。兎は狸と共に物語に登場することもあります。 兎は、登場する殆どの物語の中で、心優しく親切で子供達から愛される動物として描かれています。月の表面の影では、兎が餅をついていると言います。もちろんこれは、月の影をロマンティックに描写したものに過ぎませんが、子供達はこの話が大好きです。 西洋人には、月の黒点が人間の顔に見えます。

海に関する物語は南方から渡って来たもので、日本人の起源を知る手がかりが隠されていることは知られている事実です。 こうしたことは、カンガルー、カモノハシ、キーウィ、タスマニア虎、タスマニア狼、現在では絶滅してしまったモアといった、不思議な動物が生息する、あるいはしていたニュージーランド、オーストラリア、タスマニアの様な島国では珍しいことではありません。 こうした動物は全て同じではありませんし、説明を試みても理解してもらうことは大変困難な為、彼らの名前を日本で聞くことは殆どありません。

日本では見ることの無いこうした動物に関する話は多数ありますが、人々の心酔わせるこの国とその文化の中で動物の存在がどれだけ重要な地位を占めているかについて知ることは大変興味深いことです。以前にも述べた様に、これはアニミズムに端を発しています。アニミズムはやがて神道へと変貌を遂げ、御存知のように日本中ほとんど全ての神社で動物の像や彫刻を目にすることが出来ます。中には、20種類以上の動物の像を置いている神社もあります。幾つ見付けることが出来るか、探してみるのも一興でしょう。

神社には、鳥の像もあります。特に鶴は重要な位置を占め、亀と並んで、長寿の象徴とされています。雀は、人間になつきやすい鳥で、雀に関する心温まる昔話もいくつかあります。こうした物語の起源は外国にあり、このことは日本文化が多くの外国文化の影響を受けていることを示しています。取り分け、燕は民話の中で特別な地位を与えられ、幸せを呼ぶ鳥とされ、春になると日本に飛来すること、ひなを大切に育てることから、縁起の良い鳥とされています。

烏は、既に古事記の中に使いとして登場しています。また、たたら製鉄が九州からこの地方へ伝達された際にも、役割を果たしました。 動物に関する物語を辿って行くと、世界各国の文化についてより多くを学ぶことが出来ます。しかし、何より日本文化について知ることが出来ると思います。