追悼 - A Eulogy

12月20日、足立全康氏が他界しました。ご家族の皆様には心からお悔やみ申し上げます。 遺族の方たちのことを思うといつも気の毒でなりません。皆さん悲しみに暮れていらっしゃいます。しかし、それは故人の望むところではないはずです。仕事に励みすばらしい人生を送ったのであれば、それは人としてなすべきことを十分やり遂げたということです。

足立氏が地域社会と国家に対してなされた貢献は、栄誉と尊敬に値します。氏が美術館を興されたのは、70歳を過ぎてからのことでした。大抵の人がのんびりしたいと思う年齢になってから目標に打ち込まれたことは称賛されるべきです。美術館は1970年12月3日開館しました。幸いなことに、氏は1990年11月3日の創立20周年の記念日に立ち会うことができました。

今から20年前、私は安来市に住む親友の杉原平八さんにこの美術館に連れて行ってもらい、そこで足立氏に紹介されました。 長い年月をかけ美術館は増築され、庭園はより美しさを増していきます。庭園を愛していた氏は大半の時間を、自ら中に入って作業をし、庭師の方たちと庭園について語り合いながら過ごされました。

壮大な庭園に囲まれたこの美術館は、全世界の美術愛好家たちにとって関心の的となっています。美術とはすべての国の人たちが理解できるものなのです。 足立氏はもうこの世にいませんが、このすばらしい美術館は故人を偲ぶ記念碑として存在し続けます。また、庭園はまさに、自然と美術、そして人間を愛した男の生ける記念碑であるといえます。 足立氏から私たちへの贈り物である最高の美術館、そしてそれを生み出した彼の心と勇気に敬意を払わなくてはなりません。