占い - The Fortune Telling

前回紹介した物語に登場したワニたちが怒ったのも無理からぬことでした。彼らはウサギにだまされたうえにばか呼ばわりされたのです。そこで、逃げようとするウサギを捕まえ皮をはいでしまいました。ひどい痛みに苦しむウサギは、大国主に救いを求めます。 大国主はウサギに、真水で体を洗い蒲の穂の上を転がるように言います。ウサギが言われたとおりにすると傷は治っていきました。

ウサギは大国主にたいへん感謝し、兄弟たちは決して八上比売を妻として迎えることはできないだろう、大国主こそ八上比売が夫として選ぶ男であろうと告げます。果たしてウサギの予言どおり、大国主は八上比売と結ばれます。 出雲大社の入り口の向かって左側には、ウサギが大国主に運命を告げている像があります。

その後、大国主の兄弟たちは、復讐心と嫉妬心から大国主を殺そうとします。大国主はかつて兄弟たちに殺されたことがありました。彼らは大国主に、山から駆けおりてくるイノシシを捕まえるよう命じ、イノシシに似た丸い大きな岩を真っ赤になるまで焼き、それを大国主めがけ山から転がしたのです。大国主は言われるままに岩を抱き止め、焼け死んでしまいました。 彼の母親は神々に息子を蘇らせてくれるよう頼み、その願いは聞き入れられました(このあたりはスウェーデンのある物語と同じ内容を思い起こさせます)。

また、こんなこともありました。兄弟たちは1本の木を半分に切り裂き、その裂け目に大国主をはさみ閉じたのです。言わずもがな、大国主はつぶされて死んでしまいました。母は今一度神々に助けを求め、大国主は再び生き返りました。 大国主が須勢理と出会ったのは、木の叉を抜けて兄弟たちから逃げ出した後のことです。(木の叉は伝説にたびたび登場しますが、シャーマニズムにおける幸運の象徴であろうと思われます)。