熊野大社 - Kumano Taisha

熊野大社

今日、3月21日は、1年のうちで最も日和がよく、私の好きな季節の始まりの日でもありました。そこで人から聞いたことのあるたいへんおもしろい神社を訪ねました。もちろんその神社というのは、659年に創建された熊野大社です。

大社造りの神社の中でも最古のものの一つです。かつて、熊野大社は出雲の国において最も大きな支持を大衆から得ていました。その人気は出雲大社をもしのぐほどだったのです。熊野大社は、日本で最初の女神・伊耶那美を祭る摂社を伴った須佐之男命に献じられた神社ですが、主たる崇拝の対象は、櫛御気野命(クシミケヌノミコト)です。

神々への火が最初に灯されたのは、この神社においてでした。出雲の国風土記によると、伊耶那岐の息子の一人、クマノカムロがここに祭られているということです。おもしろい祭事や歴史を持つ熊野大社は、地域における社会活動の中心として、新たなイメージを築きつつあります。新しい建物もいくつか建築されています。熊野大社にはもう何年も訪れていませんでしたが、新しい建物を除けばほとんど変わっていませんでした。神楽殿も変わることなく古い姿を保ち美しいままでした。

この季節もまた、美しいものです。桜の花が勢いよく芽吹く樣を目にし、自然の持つ自らを再生する力に寄せる信頼を新たなものにしました。山陰でもすばらしい季節となることでしょう。期待に胸をふくらませそのときがやってくるのを待とうと思います。

私は、この地方はその歴史において日本の中でも唯一無二の存在であり、日本の創生にあたって重要な役割を果たし、日本がその起源を有する国としての意義を持ち、古代の神々にまつわる豊饒な神話を持ち、考古学上最も重要な地域である、と切に思います。古代の社や宗教的中心地が存在した出雲の国は、その昔当然のように権力を誇った存在でした。今日でも出雲は、世界中のどこよりも私を魅了してくれる場所なのです。