私の山陰 - My Sanin

島根県、山口県と兵庫県の一部や鳥取県といった山陰地方のほかの地域は、訪れてみたくなるような場所にあふれています。

東北東の天橋立から南西の下関に至るまで、山陰は隅から隅までどこも個性的で、歴史があり、学ぶべき重要なものがあるように思います。

私はこれまで山陰をくまなく旅してきましたが、行く先々ですべてを観ることはできなかったと思います。読者の皆さんのお住まいになっている土地で、一番おもしろい所を手紙で教えていただければと思います。そうすれば私がそこを訪れることができますから。

私の山陰地方の歴史に対する関心はきわめて真しなものであり、私にとりどうでもよいものなどありません。どれもとても大切なものばかりです。失われた美保関の松にさえ興味を覚えます。

山陰は日本が文化社会としての夜明けを迎えた場所ですが、不運にもより強大な勢力に征服された結果、国内のほかの地域に比べその重要性は低いものとなってしまいました。そして、この地方は「山の陰」として知られるようになります。しかし、重要性を失ったことにより、山陰の文化は長い間変化することなく推移し、そのことが今日多くの観光客がこの地方の自然、歴史的遺物、遺跡を訪れる理由となっているのです。 きわめて貴重な古代の遺物からは、新たな発見が絶えずなされています。雨と曇りの日が多いことから「山の陰」と呼ばれるに至ったわけですが、実にうまく言い表していると思います。昔は東京に書簡を送り、返事を受け取るのに何週間もかかったに違いありません。

私が山陰で一番好きなところは、山陰の持つ“らしさ”です。もし日本のほかの地域に住まなくてはならないようなことになれば、アメリカに帰ると思います。山陰が一番です。