床の間(とこのま) - Tokonoma (alcove)

床の間は、和室の壁面に設けられた奥まった空間で、広さは1畳または半畳が一般的です。床の間の床は、座敷より一段高くなっており、普通は板張りにされていますが、畳敷きのものもあります。床の間と座敷は、床柱(とこばしら)と床框(とこがまち)によって区切られています。床柱は、床の間の手前の角にあり、床の間と他の壁との境目になる装飾的な柱です。床柱には、たいてい他の柱と異なる高級な木材が使われます。床框は、床の間の前端に渡した横木で、化粧仕上げが施されています。床の間の奥の壁には掛け軸を掛け、床には生け花や装飾品を置きます。

床の間の起源は、14世紀の僧侶の家に設けられた仏間(仏壇が安置されている部屋)であったと言われています。当時の床の間は、現在のような奥まった空間ではなく、人々は壁に仏画を掛け、その前に低い机を置いて、香炉・花瓶・燭台を並べ、礼拝を行っていました。このような宗教的な空間が、室町時代から桃山時代にかけて、部屋の奥まった場所に造り付けられるようになり、建築様式の発達に伴って、現在のような座敷を装飾する空間としての床の間に変化したのです。

床の間のある座敷は品格があり、改まった雰囲気がします。このため、多くは客間として使用されます。宴会などで何人かが座敷に座るときには、席順を決めます。この場合、床の間に近い席が上座になります。来客を迎える場合、客が主人より社会的に上位の地位にある場合は客が上座に座り、それ以外の場合は主人が上座に座って応対します。